電子書籍の普及は止まるところを知りませんが、その裏側では様々な技術的な戦いが繰り広げられています。本書『EPUB戦記 電子書籍の国際標準化バトル』は、電子書籍の国際標準規格であるEPUBの標準化の過程を、まるで戦記のように詳細に描いた一冊です。
なぜEPUBの標準化は重要なのか?
電子書籍のファイル形式は、KindleのKF8、Apple BooksのiBooksなど、様々なものが存在します。もし、これらの形式が統一されなければ、読者はそれぞれのデバイスやアプリに合わせて同じ書籍を何度も購入しなければならなくなってしまいます。
EPUBは、そのような状況を打破し、読者がどのデバイスで読んでも同じように書籍を楽しめるようにするために開発されました。しかし、その標準化の道のりは決して平坦ではありませんでした。
本書で何がわかる?
本書では、EPUBの開発者たちの熱い想いや、各社間の激しい利害対立、そして、国際標準化機関での議論の様子などが、詳細に語られています。まるで歴史小説を読んでいるかのように、EPUBの標準化の過程を追体験できるでしょう。
- EPUBの開発秘話: EPUBがどのようにして生まれ、進化してきたのか。
- 各社の思惑: Amazon、Apple、Googleなど、各社がEPUBの標準化にどのように関わってきたのか。
- 標準化機関での攻防: 国際標準化機関での議論は、どのような展開を見せたのか。
- EPUBの未来: EPUBは、今後どのように進化していくのか。
Kindleとの相性
本書はKindle端末やアプリでも快適に読むことができます。EPUB形式の書籍をKindleで読むためには、Amazonが提供する変換サービスを利用する必要がありますが、本書の内容を理解することで、その変換の仕組みや、EPUBのメリット・デメリットなどをより深く理解できるでしょう。
競合書籍との比較
電子書籍に関する書籍はいくつかありますが、EPUBの標準化の過程に焦点を当てたものは珍しいです。例えば、『デジタル出版の未来』(翔泳社)は、デジタル出版の全体的な動向を扱っていますが、EPUBの詳細な標準化プロセスについては触れていません。
本書は、EPUBに特化した専門書であり、電子書籍業界に関わる人々や、EPUBの技術的な詳細に興味を持つ読者にとっては、必読の一冊と言えるでしょう。
読了後の感想
電子書籍を読むのが好きな私にとって、本書は非常に興味深い内容でした。EPUBの標準化の過程が、これほど複雑で、ドラマチックなものであったとは知りませんでした。本書を読むことで、電子書籍の未来について、より深く考えるきっかけとなりました。
