なぜ今、ローマ史なのか?
歴史好きなら一度は憧れるローマ帝国。その壮大なスケールや英雄たちの活躍は、多くの物語として語り継がれています。しかし、教科書で学ぶのはあくまで政治史や軍事史であり、当時の人々の「生活」そのものに焦点を当てたものは少ないのではないでしょうか。
そんな中、河出文庫から刊行されている『生活の世界歴史〈4〉素顔のローマ人』は、ローマ帝国の庶民の暮らし、文化、価値観を鮮やかに描き出す一冊です。著者の弓削達氏は、考古学的な発見や文献資料を基に、まるでタイムスリップしたかのような臨場感でローマの世界を再現しています。
この本で何がわかる?
この本は、単なるローマ史の入門書ではありません。以下のような、教科書ではなかなか触れられないテーマを深く掘り下げています。
- 食事と住居: ローマ人の一日の食事はどんなものだったのか?都市部の集合住宅と郊外の邸宅の違いは?
- 仕事と経済: どんな職業があったのか?奴隷制度はどのように機能していたのか?貨幣経済はどのように発展したのか?
- 娯楽とスポーツ: ローマ人はどんな娯楽を楽しんでいたのか?剣闘士の戦いはなぜ人気を集めたのか?
- 家族と教育: ローマ人の家族制度はどのようなものだったのか?子供たちはどんな教育を受けていたのか?
- 宗教と信仰: ローマ人はどんな神々を信仰していたのか?キリスト教はどのように広まっていったのか?
これらのテーマを通して、私たちはローマ人が抱えていた喜びや苦しみ、希望や絶望を共有し、彼らをより身近に感じることができるのです。
他のローマ史書籍との違い
ローマ史に関する書籍は数多く存在しますが、『生活の世界歴史〈4〉素顔のローマ人』は、その中でも特にユニークな視点を持っています。例えば、塩野七生氏の『ローマ人の物語』は、壮大な歴史の流れを把握するのに適していますが、個々の人々の生活に焦点を当てた記述は少ないと言えるでしょう。
また、ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』は、人類全体の歴史を俯瞰的に捉える壮大なスケールで書かれていますが、特定の時代や文化に深く踏み込むことはありません。
この本は、まさにローマ人の「生活」に特化した、他に類を見ない一冊と言えるでしょう。
読んでみての感想
私はこの本を読んで、ローマ帝国に対するイメージが大きく変わりました。これまで、ローマ帝国といえば、華麗な宮殿や壮大なコロッセオ、そして英雄的な皇帝たちの物語を思い浮かべていましたが、この本を通して、ローマ帝国の繁栄を支えたのは、地道な努力を重ねた庶民たちの生活力だったことを改めて認識しました。
特に印象に残ったのは、ローマ人の食事に関する記述です。パンとオリーブオイル、豆や野菜をベースとしたシンプルな食事は、現代の私たちとあまり変わらない部分があることに驚きました。
また、ローマ人の住居に関する記述も興味深かったです。都市部の集合住宅は、現代のマンションと似たような構造をしており、当時の人々の生活の知恵を感じることができました。
こんな人におすすめ
- ローマ史に興味があるけれど、どこから手を付けていいかわからない人
- 教科書では学べない、リアルなローマ帝国の暮らしを知りたい人
- 歴史を「物語」として楽しみたい人
