子供の頃の「怖い」を優しく包み込む「怪談えほん (3) いるの いないの」
子供に怪談を語り聞かせたいけど、怖すぎるのは避けたい…そんな親御さんの願いを叶えてくれるのが、岩崎書店の「怪談えほん (3) いるの いないの」です。京極夏彦さんも推薦しているという事で、大人も楽しめる本格的な怪談でありながら、子供向けの絵本として読みやすいように工夫されています。
どんな怪談?
この絵本に収録されている怪談は、昔話や伝承をベースにしたものが中心です。「いるの いないの」という言葉に隠された怪談のテーマは、子供たちが日常的に感じる不安や好奇心を刺激します。例えば、夜に聞こえる物音、誰もいないはずの部屋の気配…そういった「もしかしたら何かいるかも?」という気持ちを、絵本を通して共有できるのが魅力です。
読み聞かせのポイント
この絵本は、絵柄が非常に魅力的です。東雅夫さんの絵は、どこか懐かしい雰囲気があり、子供たちの想像力を掻き立てます。読み聞かせをする際は、抑揚をつけたり、効果音を加えたりすることで、より怪談の世界観を演出できます。
ただし、怖がりな子供の場合は、事前に「これはお話だよ」と説明したり、読み聞かせの途中で「大丈夫?」と声をかけたりするなど、配慮が必要です。京極夏彦さんの解説も、大人にとっては読み応えがあります。
他の怪談絵本との違い
子供向けの怪談絵本は数多くありますが、「怪談えほん」シリーズは、その中でも特に本格的な怪談を扱っている点が特徴です。他の絵本と比べて、ストーリーの展開が巧妙で、結末が予想できないものが多いです。また、京極夏彦さんの解説によって、怪談の背景にある文化や歴史を学ぶこともできます。
例えば、偕成社の「日本の怖い話」シリーズは、より幅広い年齢層を対象としており、ストーリーもバラエティに富んでいます。しかし、「怪談えほん」シリーズは、子供たちの心に響くような、繊細で優しい怪談を選んでいる点が異なります。
使ってみて感じたこと
実際に子供に読み聞かせしてみると、最初は少し緊張した面持ちでしたが、読み進めるうちにどんどん引き込まれていきました。特に、絵本の雰囲気が気に入ったようで、何度も読み返したいとせがみました。
怖い話なのに、なぜか安心して眠れる…そんな不思議な体験をさせてくれるのが、「怪談えほん (3) いるの いないの」の魅力です。
メリットとデメリット
メリット:
- 本格的な怪談を子供向けにアレンジしている
- 東雅夫さんの美しい絵柄
- 京極夏彦さんの解説で、怪談の奥深さを知ることができる
- 子供の想像力や好奇心を刺激する
デメリット:
- 怖がりな子供には不向き
- ストーリーが少し複雑なため、小さい子供には理解しにくい場合がある
