マーケティングの常識を覆す「ブランディングの科学」とは?
マーケティング戦略を練る上で、多くの人が「いかに認知度を高めるか」に注力します。しかし、この書籍『ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11』は、その考え方を根本から覆します。著者のバイロン・シャープ教授は、長年の研究に基づき、「強いブランド」よりも「広いリーチ」の方が、売上に大きく貢献するという驚きの法則を提唱しています。
なぜ従来のブランディング戦略はうまくいかないのか?
これまで、私たちは「ブランドロイヤリティ」を高めること、つまり、特定のブランドを愛用する顧客を増やすことが重要だとされてきました。しかし、シャープ教授の研究によれば、ブランドロイヤリティは、売上全体への貢献度が低いというのです。なぜなら、多くの購買は、ブランドへの深い愛着ではなく、**「その場で購入できるブランド」**によって左右されるからです。
この本で学べること
本書では、以下の11のマーケティング法則について、具体的なデータや事例を交えながら解説しています。
- 法則1:リーチが重要である
- 法則2:ブランドロイヤリティは過大評価されている
- 法則3:広告は効果がある
- 法則4:口コミは限定的な影響しか持たない
- 法則5:価格は重要だが、それだけではない
- 法則6:プロモーションは一時的な効果しかない
- 法則7:パッケージは購買行動に影響を与える
- 法則8:流通は売上に大きく貢献する
- 法則9:ブランドエクイティは幻想である
- 法則10:イノベーションはリスクが高い
- 法則11:マーケティングは科学である
これらの法則を理解することで、これまで無駄としていたマーケティング活動を見直し、より効果的な戦略を立てることが可能になります。
競合との比較:従来のマーケティング書籍との違い
従来のマーケティング書籍は、ブランドイメージの構築や消費者心理の分析に重点を置いていました。例えば、フィリップ・コトラーの『マーケティング・マネジメント』は、マーケティングの基礎理論を網羅的に解説していますが、具体的なデータに基づいた法則の提示には至っていません。
一方、『ブランディングの科学』は、大規模なデータ分析に基づいた客観的な法則を提示している点が大きく異なります。これは、マーケティングを「芸術」として捉えるのではなく、「科学」として捉えるという、パラダイムシフトと言えるでしょう。
実際に読んでみての感想
私はこれまで、様々なマーケティング書籍を読みましたが、本書ほど衝撃を受けたものはありませんでした。特に、「リーチ」の重要性については、深く考えさせられました。これまで、ターゲットを絞り込んだマーケティング活動に注力してきましたが、今後はより多くの人にアプローチできるような戦略を検討する必要があると感じています。
この本は、マーケティング担当者だけでなく、経営者や起業家にとっても必読の一冊です。マーケティングの常識を覆し、新たな視点を与えてくれるでしょう。
