クジラがしんだら、海はどうなる?
童心社の絵本「クジラがしんだら」は、かわさきしゅんいちさんの優しい絵と、江口絵理さんの言葉が織りなす、心温まる物語です。クジラが死んだとき、海に生きる動物たちがそれぞれの方法で悲しみ、そして少しずつ変化していく様子が描かれています。
なぜこの絵本が特別なのか?
この絵本は、死という重いテーマを子どもたちに優しく伝えます。ペットロスや家族の死など、子どもたちが経験する喪失体験は、大人にとって理解し難しく、どのように寄り添えば良いのか悩むことも多いでしょう。しかし、「クジラがしんだら」は、死を悲しみ、受け入れること、そしてその先にある再生の希望を、動物たちの視点を通して自然に伝えてくれます。
例えば、タコはクジラのことを忘れようと、自分の足を使ってクジラの形を何度も作っては消します。カニはクジラの骨を運び、新しい住処を作ろうとします。それぞれの行動には、悲しみ、思い出、そして未来への希望が込められています。
競合作品との比較
死をテーマにした絵本は他にも存在しますが、「クジラがしんだら」は、その表現方法が独特です。例えば、偕成社の「おばあちゃんの思い出」は、祖母との思い出を振り返ることで、喪失感を乗り越えていく物語です。一方、「クジラがしんだら」は、死そのものを直視し、周囲の環境や生き物たちへの影響を描くことで、より普遍的なテーマを扱っています。
また、福音館書店から出版されている「さよなら、くまさん」は、主人公の少年が亡くなったペットのクマとの別れを描いています。この作品は、少年の心情に焦点を当てており、より個人的な喪失体験を扱っています。それに対して、「クジラがしんだら」は、より客観的な視点から、自然界における死と再生のサイクルを描いている点が異なります。
実際に読んでみて
私はこの絵本を自分の子どもに読み聞かせました。最初は少し戸惑った様子でしたが、読み進めるうちに、クジラが死んだことを悲しみ、そして動物たちがそれぞれの方法でクジラと向き合っていく姿に心を動かされているようでした。読み終わった後、子どもは「クジラが死んだら、海はどうなるんだろうね?」と問いかけました。この絵本は、子どもたちの想像力を刺激し、死について考えるきっかけを与えてくれるでしょう。
この絵本は、絵も言葉もシンプルでありながら、深いメッセージが込められています。子どもだけでなく、大人も一緒に読んで、心に響く物語を体験してみてはいかがでしょうか。
