もし、今ある科学文明が明日、完全に消滅したら…? そんなSFのような問いから始まる、ルイス・ダートネル著『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』。この本は、文明崩壊後の世界で、科学技術をどのように再構築していくのか、そのプロセスを詳細に、そして面白く解説しています。
なぜこの本が面白いのか?
この本は、単なる科学技術の解説書ではありません。著者は、文明が崩壊した原因を分析し、どのような知識や技術が失われたのか、そして、それをどのように取り戻していくのかを、具体的な例を交えながら説明します。例えば、鉄の精錬技術が失われた世界では、石器時代に逆戻りしてしまうでしょう。しかし、粘土や木炭といった身近な素材から、徐々に鉄を取り戻していく方法も考えられます。
科学技術の再建ロードマップ
本書では、文明再建に必要な技術を、以下の段階に分けて解説しています。
- 第1段階:生存に必要な技術
- 食料の確保(農業、狩猟、採集)
- 水の確保(浄水、灌漑)
- 住居の確保(建築、断熱)
- 衣服の確保(紡績、染色、縫製)
- 第2段階:社会基盤を築く技術
- エネルギーの確保(火、水力、風力)
- 道具の製作(石器、金属器、木工)
- 交通手段の確保(徒歩、動物、船)
- 通信手段の確保(言語、文字、伝書)
- 第3段階:文明を花開かせる技術
- 数学、天文学、物理学
- 化学、医学、生物学
- 工学、情報科学、芸術
他のサバイバル本との違い
サバイバルに関する本は数多くありますが、この本は、単に「生き残るための知識」を教えるのではなく、「文明を再建するための知識」を教えるという点が大きく異なります。例えば、ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』は、人類の歴史を俯瞰的に捉える壮大なスケールで書かれていますが、本書は、より具体的な技術に焦点を当て、文明再建のプロセスを詳細に解説しています。また、ジェアード・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』は、地理的条件が文明の発展に与える影響を分析していますが、本書は、技術そのものの重要性を強調しています。
読んでみての感想
この本を読んで、改めて科学技術の重要性を認識しました。私たちが当たり前のように享受している便利な生活は、先人たちの知識と努力の積み重ねによって築き上げられたものです。もし、その知識が失われたら、私たちは再び原始的な生活を強いられることになるでしょう。この本は、そんな危機感を抱かせると同時に、科学技術の可能性を信じさせてくれる、希望に満ちた一冊です。
誰におすすめしたいか?
- SF好き
- サバイバルマニア
- 科学技術に興味がある人
- 文明の未来について考えたい人
ぜひ、手に取って読んでみてください。
